人は水でできているから

大学1年の夏は暑かった。

私は入ったばかりの大学になじめず、ぼんやり辞めようかと思っていた。 でも、辞めてどうする?特にやりたいこともやるべきこともない。

実家に帰って、冴えない夏休みを過ごした後、東京に戻ってきて、しぶしぶ必修科目である体育の授業に出た。 夏休みの最後に集中的に授業がある。

弓道とか馬術とか、かっこいいのにはすべて抽選でもれて、私が出たのはバスケットボールだった。

蒸し暑い体育館を準備運動として何周もランニングした後、パスやシュートの練習、ミニゲーム。とにかく暑く、汗が噴き出す。

終わった後はたまらず、自販機で買った飲み物を3本は空けていた。ゼリーの入った炭酸飲料、紅茶、水…。

唯一仲良くなっていた友達と、10日間毎日その授業のためだけに大学に行った。 運動するから、夜はぐっすり眠る。

その日々を経て私は心の調子を取り戻していた。

余計なことを考えず、運動し、食べて、寝る。

そして、大量にかいた汗と、練習後に大量に摂ったあの水分のおかげで、私は心身のすこやかさを取り戻したのではないかと思う。

なんといっても人の体のほとんどは水でできているのだから、水が入れ替わることでその人が変わると考えてもおかしくはないだろう。

心の調子がわるくなったら、汗をかいてみるのは大事なことなのだ。